患者さんの心に寄り添い、
命を助け、QOLを向上させる
皮膚科医療の醍醐味。
大原國章(おおはら・くにあき)
皮膚科
- 1973年
- 東京大学医学部卒業
- 1973年
- 東京大学医学部附属病院皮膚科助手
- 1980年
- 東京大学医学部附属病院皮膚科講師
- 1984年
- 虎の門病院皮膚科部長
- 2007年
- 虎の門病院副院長
- 2012年
- 虎の門病院非常勤、駒込病院非常勤
- 2015年
- 東京都広尾病院非常勤
- 2017年
- 赤坂虎の門クリニック皮膚科、虎の門病院特任部長
インドネシア大学連携教授 - 2021年6月より赤坂虎の門クリニック理事長、院長
皮膚科
診療の基本方針
難しい専門用語は使わずにわかりやすく説明し、親しみやすい態度で接する。患者さんの困っているポイントをしっかりと聞き、治療方針についてはいくつかの選択肢を提示できるよう心がけ、本人・家族の意思を尊重しながら決定する。
対象となる症状・疾患
- 膚病全般(かぶれ、かゆみ、湿疹、皮膚炎、虫刺され、皮膚の腫瘍〈できもの、しこり〉、あざ、血管腫、皮膚に生じるがん、ほくろ、傷痕やひきつれ、慢性の皮膚潰瘍〈えぐれ、ただれ〉、多汗症、脱毛症、パッチテストなど)
- 外科治療を伴う症状(皮膚がんの治療経験は豊富で、長年多数の患者さんを診療してきた。当院でおこなう手術は、外来通院での局所麻酔の手術だが、全身麻酔が必要な場合は関連医療機関へ紹介する。当院医師が関連病院で出張手術をおこなうことも可能。)
手術を含めた皮膚科全般に、しっかりと対応できる経験値
皮膚科では、皮膚疾患全般を広く受け入れている。
「皮膚科は臓器別で得意分野が違うということはなく、からだ全体が対象になりますし、老若男女の区別もありません。当院でも、さまざまな患者さんがさまざまな疾患で受診されます。医師の側からすると、まさにからだ全体を診ている感のある分野です」
大原氏は、手術を得意とする皮膚科医だ。他院からの手術の依頼も受け入れている。
「東京大学医学部附属病院、虎の門病院で皮膚がん、あざ、血管腫、瘢痕、潰瘍などを対象に、数多くの手術をおこなってきました。当院においてもその経験を生かし、幅広く対応できていると自負します」
手術にあたっては、正確な診断に裏付けされた適切な手術方法を選択することが求められる。
「ダーモスコピーを用いた臨床診断と、顕微鏡による病理診断を実施し、手術を選ぶか否か、どんな手術を選ぶかなどを、患者さんに十分に納得していただいたうえで決断してもらう方針です」
大原氏は手術、ダーモスコピー、病理については数多くの論文発表や学術書の執筆もおこなっており、学会でも指導的役割を果たしている人物。その経験値を縦横無尽にいかし、診療を展開している。
からだ全体を超急性期から慢性疾患まで—それが皮膚科のやりがい
大原氏は、京都府の開業医の家に生まれた。
「そんな環境ですから、医師をめざすのに特別なきっかけはなかったように思います。兄も含めて、当然のようにこの道を選びました。ただ、兄も私も、父のクリニックは継がず、勤務医でした」
皮膚科を選んだ理由は、どんなところにあったのだろう。
「臓器別に分野が分かれる外科も、データを睨んで考えることが多い内科も、私のいだく臨床医のイメージとは違っていたと思います。その点皮膚科は頭からつま先まで、文字通りからだ全体が対象ですし、患部への見立てなどに経験や知識が反映される分野なので、とてもやりがいを感じました」
からだ全体、しかも老若男女ということに加え、超急性期から慢性疾患までという意味でも皮膚科臨床医の担当する領域は幅広い。
「さらに言えば、手術を担当すると、がんや重度熱傷といった命にかかわる症例から、あざやいぼ、ほくろといった患者さんのQOLに寄与する症例までをカバーすることになります。それらに、軽重なく、一症例ずつを真摯に取り組むことに皮膚科医の真骨頂があると考えます」
さまざまな強みを持った医師とともに幅広く貢献したい
診察室では、患者さんの立場になった診療を心がける。
「専門用語を頻発して、患者さんが身構えてしまう診察になったりしないよう気をつけています。どれ程度かみ砕けば伝わるのかを、患者さんの表情から読み取り、コミュニケーションしています」
患者さんの心に寄り添うことが、皮膚科医の重要な役割だと自認する。
「皮膚に現れた異常が命にかかわることなのかといった不安、顔にあざがあるために引け目、負い目をかかえてしまう心理——そういったさまざまを患者さんの立場になって、患部だけでなく心の癒やしまで視野に入れた医療を展開しなければなりません」
皮膚科の今後の展望について。
「現在、非常勤でアレルギー疾患を得意とする先生に来ていただいています。今後も、それぞれに強みをもった医師の参画を仰ぎ、より幅広く、より多くの患者さんに患者利益を提供できる診療科に育てたいと考えています」