受付時間
午前08:30-12:00(診療 09:00-12:30)
午後13:00-16:30(診療 13:30-17:00)
時間帯 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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午前 | 北川(浩) | 北川(浩) | 北川(友)※1 三島 |
北川(浩) | 北川(浩) |
午後 | 北川(浩) | 北川(浩) | 三島 | 北川(浩) | 北川(浩) |
※ | 記名医師が休診となることがありますので、受診の際は必ず「休診のお知らせ」をご確認ください。 |
※1 | 第1,3水曜午前を三島、第2,4水曜午前を北川(友)が診療します。 |
担当医
診療の基本方針
女性はからだの機能がたいへん複雑にできていて、昼も夜も休みなくホルモンの調節を受けて卵巣や子宮が活動しているため、生理やそれに伴うからだの変化とつきあいながら日々の生活を送る必要があります。ストレスから来るからだの変調や生理に関連した諸問題、微生物の感染の心配、子宮や卵巣に生じる腫瘍、避妊や月経調節の工夫、不妊の悩み、そして何よりも妊娠の診断と妊婦健診など人によって問題はさまざまですが、来院される方の一人一人の悩みや症状と向き合って、皆さま方が健康的な生活を維持できるようにご支援したいと念じております。そのためには正確な診断と的確な治療方針、そしてこれらを理解していただくための分かりやすく十分な説明を心がけていきます。
対象とする症状・疾患
生理の乱れや生理に伴う症状が気になる方へ
生理の問題やホルモンに関係する症状・疾患
症状は様々
出血量が異常、出血の時期が異常、痛みが強い、からだや気分の変化が激しいなど、生理にともなう悩みや心配は種類が多く、人によっても様々です。一時的なホルモンの変調が原因のこともあれば病気の症状の場合もありますので、単なる乱れと侮らずにご相談ください。
病気なのか、単なるホルモンの働きの乱れなのか
例えば同じ生理痛や月経過多でも、機能性月経困難症や月経前症候群、機能性過多月経では特に原因がなくてホルモンが過度に働いた状態と考えられていますが、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症が原因なら病気です。また更年期が近づいた年齢で起きやすい生理不順も、ホルモンの乱れではなくて子宮内膜増殖症や子宮体がんの症状であることがあります。病気なのかホルモン作用の乱れなのか、自分ではなかなか判断しにくいことがありますので、疑問に思った時はご相談ください。
受診の目安
出血が2週間止まる見込みがない場合、生理痛が鎮痛薬を3日以上飲むくらい強い場合、生理の周期がいつも3週間と短い場合またはいつも2か月以上と長い場合、生理が3か月たっても始まらない場合などが受診の目安ですので参考にしてください。
外陰部やおりものの異常・性器の感染症が気になる方へ
感染によって起きる疾患
主な症状
外陰部や腟の炎症の結果、次のような症状が現れます。外陰部のかゆみ・痛み、おりものの増量・異臭、血性のおりもの、外陰部のできもの・腫れ。炎症が子宮や卵管に広がると下腹部の痛み、発熱が現れ、尿道や膀胱に及ぶと尿道の不快感、膀胱炎症状を伴います。
代表的な疾患(性感染症以外)
カンジダ症、細菌による外陰炎・腟炎、毛包炎(おでき)、バルトリン腺炎・バルトリン腺膿瘍
性感染症
クラミジア感染症、性器ヘルペス症、尖圭コンジローマ、トリコモナス腟炎、淋菌感染症、梅毒
診断
局所の視診と培養検査により診断します。カンジダとトリコモナスは腟分泌物の顕微鏡検査により診察室で診断でき、ヘルペスウイルスも抗原抗体法により診察室で診断します。クラミジアや淋菌は核酸同定法により検出しますので判定に数日を要します。梅毒の確定診断は血液検査で行います。
治療
それぞれの原因の病原体に対する治療を行います。
子宮筋腫や子宮内膜ポリープが気になる方へ
子宮筋腫
子宮筋腫とは
子宮の壁の中にできる代表的な良性腫瘍です。通常は子宮体部に発生しますが、子宮頸部に生じる頸部筋腫というタイプもあります。筋腫は女性ホルモンのエストロゲンの作用で発生・成長するため、更年期までは増加や増大を続けます。筋腫は多くの女性で発症しますが、治療が必要か否かは個々の患者さんで健康や生活への影響と妊娠出産への影響とを考えて判断します。
筋腫のでき方
筋腫のできる場所により、子宮壁から外へ向かって増大する漿膜下筋腫、子宮壁内で子宮全体が膨らむように発育する筋層内筋腫、子宮の内腔に飛び出す粘膜下筋腫の3つのタイプに分類されます。複数のタイプの筋腫が混在する方、大きな筋腫が1個だけできる方、小型の筋腫が5~6個から数10個できる方など、筋腫ができた子宮の状態は人によって様々です。
症状
代表的な症状は経血量が増える過多月経と、それにより引き起こされる鉄欠乏症貧血です。鉄欠乏症貧血が重度になると階段の昇りなどで息切れや動悸を自覚するようになります。子宮全体が大きくなって10cmを超えると下腹部に硬いしこりを触れやすくなります。筋腫のでき方によっては、膀胱や尿道が圧迫されて頻尿や夜間の尿閉になります。
妊娠への影響
子宮の役割が妊娠して胎児を育てて産むことなので、筋腫ができると妊娠・出産に対してさまざまな影響を及ぼす可能性があります。粘膜下筋腫や子宮内腔が高度に変形した筋層内筋腫では、着床障害を起こして不妊症になると考えられています。妊娠中は、妊娠12週から21週の流産を引き起こしたり、筋腫の変性痛による激痛や筋腫の圧迫による胎児の手足の変形が生じたりすることがあり、筋腫の近くに着床すると胎児発育不全になることがあります。また、大きな筋腫が産道を占拠して帝王切開が必要になることや、産後に悪露の排出障害や筋腫への細菌感染を起こすこともあります。
治療
治療の基本は手術による摘出です。筋腫だけを摘出する筋腫摘出術と子宮ごと摘出する子宮全摘術の2通りの方法から選択します。さらに筋腫の位置や大きさ・数に対応して、腹腔鏡手術、開腹手術、子宮鏡手術と3通りのアプローチの仕方があります。手術以外の治療では、造血薬(鉄剤)を服用して貧血を治す等、ホルモン治療を患者さんの状況に応じて選択します。ホルモン治療には、①低用量エストロゲン配合薬(低用量ピル,LEPとも呼びます)を周期的に服用することにより卵巣からのエストロゲン(女性ホルモン)分泌を抑えて経血量を減らす方法と、②卵巣のエストロゲン分泌を止めて閉経状態を誘導し筋腫を縮小させる方法があります。後者は長期間行うことは望ましくないため、通常は手術の前段階での筋腫の縮小を目的として行われます。
当院では
内診と超音波検査で、大きな筋腫ではMRI検査(近隣の検査クリニックに依頼します)を行って筋腫の状態を診断します。粘膜下筋腫が疑われる場合は、子宮鏡検査を行って確定診断します。症状の程度、筋腫の状態、年齢、妊娠に対する意思を総合的に考慮して治療が必要か否かを判断し、患者さんの希望を尊重しながら治療法を選択します。手術が必要な方には、病院の指定がとくにない場合は虎の門病院を紹介して、私自身が赴いて病院の産婦人科チームと手術を行っています。
子宮内膜ポリープ
子宮内膜ポリープとは
子宮の内腔で子宮内膜組織が膨らみポリープ状になったもので、腫瘍ではありません。内膜ポリープ自体は良性の病気ですが、子宮体がんがポリープ状になる場合や、多発したポリープでは子宮内膜増殖症との鑑別が必要です。
症状
生理が長びく、生理以外の出血、経血量が多くなる、と言われており、また受精卵の着床を妨げて不妊症の原因になるとも考えられています。
診断
超音波検査で子宮内膜ポリープが疑わしい所見を認めたら、子宮鏡検査を行って診断します。
治療
頻繁に不正出血を繰り返す方、経血量が多くて鉄欠乏性貧血になる方、子宮体がんとの鑑別が難しい方、不妊の原因と考えられる方では手術を行います。
子宮内膜症や子宮腺筋症が気になる方へ
子宮内膜症
20歳代・30歳代で発症する子宮内膜症は、将来の妊娠を考慮する必要があるため治療法の選択が難しい疾患です。ホルモン治療が原則ですが、手術のタイミングなど患者さんの人生設計に合わせた治療方法を一緒に考えながら診療して行きます。
病気の特徴
子宮の中にあって受精卵が着床したり、毎月剥がれて月経血となって出てくる組織を“子宮内膜”と呼びます。子宮内膜症はこの子宮内膜組織が子宮の内面以外の部位でも増殖する疾患で、好発部位は子宮の周囲の腹膜(臓器の表面を覆う膜)や卵巣の内部です。卵巣内部に月経血が溜まった嚢腫(チョコレート嚢胞)を形成したり、腹膜の病変が炎症を起こして子宮と直腸の間に痛みの強い硬結を生じたりし、これらの影響により妊娠しにくくなります。子宮内膜組織の増殖は女性ホルモンのエストロゲンの作用で促進され、また年齢とともに進行していきます。
症状
生理痛、性交痛、不妊ですが、重症の場合には生理の時期に限らず下腹部の痛みや、腰痛や足の付け根から足にかけての痛みで悩まされるようになります。
治療
鎮痛薬の服用、ホルモン薬を使う方法、手術を患者さんの状況に応じて選択します。軽症で妊娠を望まない方では鎮痛薬での対症療法が現実的ですが、症状が強い方やこれから妊娠に向かう方では、低用量エストロゲン配合薬(低用量ピル, LEPとも呼びます)や黄体ホルモン薬(ジエノゲスト)を服用して病勢を抑えたり、手術で病巣を切除したりすることが推奨されています。
チョコレート嚢胞のがん化
子宮内膜症そのものは良性の疾患ですが、卵巣にできたチョコレート嚢胞は年月を経るとがんになる場合があります。嚢胞のがん化は閉経して血液中のエストロゲン濃度が低くなっても生じていますので、閉経後も定期的な診察を行なったほうが良いでしょう。
当院では
症状の程度、年齢、妊娠に対する意思を総合的に判断して、患者さんの希望を尊重しながら治療法を選択します。手術が必要な方では、病院の指定がとくにない場合は虎の門病院を紹介して、私自身が赴いて病院の産婦人科チームと手術を行っています。
子宮腺筋症
病気の特徴
子宮内膜症と同様に子宮内膜組織が子宮の内面以外の部位で増殖する疾患ですが、子宮腺筋症では子宮壁の中(子宮筋層内)に内膜組織がしみ込むように増殖しています。その結果、子宮壁が厚くなり子宮体部が膨らんで大きくなります。子宮内膜症や子宮筋腫と同様に女性ホルモンのエストロゲンの作用で促進され、年齢とともに進行していきます。
症状
強い生理痛と過多月経が特徴ですが、いずれか一つの場合や無症状の方もいます。進行した状態では、生理痛に続いて生理が終わった後から排卵にかけて下腹痛が続きます。
妊娠への影響
子宮の役割が妊娠して胎児を育てて産むことですので、腺筋症ができると妊娠・出産に対してさまざまな影響を及ぼす可能性があります。着床障害を起こして不妊症になることがあり、妊娠中は12週を過ぎてからの流産や早産を引き起こすことがありますので注意が必要です。
治療
鎮痛薬の服用、ホルモン薬を使う方法、手術を患者さんの状況に応じて選択します。軽症で数日間の生理痛だけの方では鎮痛薬による対症療法が現実的ですが、症状が強い方やこれから妊娠に向かう方では、低用量エストロゲン配合薬(低用量ピル, LEPとも呼びます)や黄体ホルモン薬(ジエノゲスト)を服用して病勢を抑えたり、手術で病巣を切除したりすることが推奨されています。不妊治療や手術に際しては、事前に偽閉経療法を行って腺筋症組織を縮小しておくことも有用です。
子宮のがんが気になる方へ
子宮の2つのがんと前がん病変
子宮頸癌と子宮体がん
子宮は腟とつながった頸部とその奥の胎児を育てる体部の2つの部分からできていて、頸部の子宮口に発生するのが子宮頸癌、体部の子宮内膜が癌化するのが子宮体がんです。この2つのがんは発症の原因も治療法もまったく異なりますので、子宮がんという言葉で一括りに扱うことは正しくありません。以前は頸癌と体がんの比率が4:1で子宮のがんと言えば頸癌を指していましたが、現在は体がんのほうが多いくらいに増えてきました。
前がん病変と早期発見
どちらのがんも癌になる前段階の状態が知られていて、頸癌では子宮頸部異形成、体がんでは子宮内膜異型増殖症と呼ばれ、いずれも前癌病変のうちに発見して治療することも可能です。不正出血は子宮がんの症状として広く知られていますが、頸癌も体がんもある程度進行しないと出血が起きません。症状をあてにせずに自発的に検診を受け、がんになる前に、あるいはがんになっても初期のうちに発見して治療することをお勧めします。
子宮頸癌と子宮頸部異形成
がん化の始まりと前癌状態
子宮頸癌では、子宮頸部の上皮細胞にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染して、正常の細胞が異型細胞(=がん細胞)に変化することにより“がん化”が始まります。HPVは性行為で感染するため、20歳代や30歳代前半の女性を中心に患者さんが多いのが特徴です。がん化が始まっても異型細胞が上皮という粘膜表面の組織に留まるうちは、まだ癌ではなくて“子宮頸部異形成”と呼ばれる前癌状態です。子宮頸部異形成は英語の表記の頭文字を並べてCINとも呼ばれます。異型細胞の増殖の度合いに応じて、正常に近いものからがんに近いものまで3段階に分類されていて、それぞれ軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成および上皮内癌(CIN3)と呼ばれます。異形成になっても自然に正常の状態に戻ることが知られていますので、異形成の方が必ず子宮頸癌になるわけではありません。
子宮頸部腺癌
子宮頸部の上皮組織には扁平上皮細胞と腺細胞の2種類の細胞があり、それぞれ扁平上皮癌と腺癌という性格の異なる癌になります。上に挙げた異形成は扁平上皮細胞から発生した前癌状態のことで、腺細胞ががん化した前癌状態は腺異形成(AIS)と呼ばれます。
子宮頸がん検診と精密検査
子宮頸がん検診では、子宮頸部の表面を擦って上皮細胞をくまなく採取し、異型細胞が見つかった場合は精密検査に進みます。精密検査では異型細胞の増殖の度合いを調べるために頸部の組織を数ミリの塊として採取します。異常が強く採取に相応しい部位を決めるために頸部の表面を拡大して調べますので、拡大する機器の名前をとってコルポスコープ検査とも呼ばれています。
異形成の判定と治療
精密検査では“異常なし”から“高度異形成・上皮内癌”までのどの段階に該当するかの判定が得られます。判定後は異形成の程度に応じて、日本婦人科腫瘍学会が作成した“子宮頸癌治療ガイドライン”に従って、定期的な検査を続けるか治療すべきかを決めます。通常、高度異形成以上(CIN3)の場合に治療を行うことが推奨されていますので、子宮頸がん検診は「がんになる前に発見して治療を行い、子宮を温存する」という考え方に基づいて行われていると言えます。治療法は子宮温存の原則に則って子宮頸部円錐切除という部分切除が標準ですが、頸部の上皮だけを破壊するレーザー蒸散という方法も取られます。また将来の妊娠を望まない方では、子宮全摘も選択肢に入ります。
当院では
細胞診による検診と、検診で異常が出た方に対する精密検査(コルポスコープ検査)を行います。手術が必要な方では、病院の指定がとくにない場合は虎の門病院を紹介して、私自身が赴いて病院の産婦人科チームと手術を行っています。
子宮体がんと子宮内膜異型増殖症
子宮体部の悪性疾患には肉腫などいくつかの種類があり、まとめて“子宮体がん”と表記されますが、ほとんどが子宮内膜から発生する“子宮内膜癌“ですので、ここでは子宮内膜癌のことを子宮体がんと呼ぶことにします。
がん化の始まりと前癌状態
子宮体がんには発生の仕方から2つのタイプがあります。がん化に女性ホルモンのエストロゲンが関与し50歳前後に発症の多い1型と、ホルモンとは無関係で60歳以上で発症する2型の2つで、多いのは1型ですので、ここでは主に1型について説明しましょう。子宮内膜のがん化は正常の内膜組織内に異型細胞(=がん細胞)が現れて始まりますが、この段階は異型増殖症と呼ばれる前癌状態でまだがんではありません。異型細胞が更に増殖して子宮の組織内に浸潤を始めたのが子宮体がんです。
症状
子宮内膜異型増殖症になると、生理が不順になったり不正出血が長びく状態になりますので、これらの症状は早期発見のきっかけとして重要です。ただホルモンの乱れ(アンバランス)によって起きる生理不順や不正出血と区別がつきにくいことから、見落とされやすい傾向がありますので注意が必要です。異型増殖症から体癌に進んでも同様の症状が続きますが、初期のうちは異常な出血がまったく起こらない方もいます。
早期発見のためには
早期発見が治療の要点ですが、発症する患者さんの数が子宮頸癌と同数になっても子宮体がんには子宮頸癌の住民検診のような検診制度がありません。通常は職場での健康診断や人間ドックの検査項目にも組み込まれていませんので、自主的に検査を受ける必要があります。50歳前後で生理が不規則で長引く、生理が止まらないという場合はもちろん、不正出血がなくても、機会を作って定期的に検査を受けることをお勧めします。
治療
手術で子宮全摘を行うのが基本です。異型増殖症や浸潤の無い初期の癌では、将来の妊娠を望む場合に限って子宮を温存するために高用量の黄体ホルモン療法が行われます。
当院では
不正出血などの症状がある方や超音波検査で子宮内膜に異常を疑った場合などに、患者さんと相談の上で子宮内膜細胞診を行っています。細胞診では判定がつきにくいときは必要に応じて子宮鏡検査を行い、精度の高い診断を行います。
卵巣嚢腫(のう腫)や卵巣癌が気になる方へ
卵巣嚢腫(のう腫)と卵巣がん
卵巣は長径3㎝の平たい楕円体ですが、ホルモンを作る細胞や卵細胞など様々な種類の細胞から成り立っています。そのため卵巣の腫瘍には発生した元の組織によって色々な種類があり、また悪性度によって良性の「卵巣嚢腫」と「充実性卵巣腫瘍」、悪性の「卵巣がん」、中間の性質の「境界悪性卵巣腫瘍」の3段階に分類されています。卵巣はからだの外部との交通がないため、子宮のように事前に細胞や組織を採って悪性か否かを調べることができません。画像診断情報である程度の検討をつけることはできますが、迷った場合には手術による摘出をして組織診断を行います。
卵巣嚢腫(のう腫)
袋状の腫瘍の中に液体が溜まったものを嚢腫と呼びます。中身の液体の種類によって、皮様嚢腫、漿液性のう胞、粘液性のう胞、チョコレートのう胞などの種類に分かれています。
症状
自覚症状が無いことが特徴ですが、大きさが10㎝を超えると下腹部が張りっぽくなります。また茎捻転や破裂という現象を起こすと突然、下腹部に激痛を生じます。
治療
治療法は手術ですが、良性腫瘍ですので手術をしないで経過を観察することも可能です。手術が必要となる目安は、茎捻転や破裂を起こした時、または起こしやすい状態になった時、大きくて下腹部の腫脹感が強くなった時、嚢腫の状態ががんとの鑑別が難しい場合です。なお、子宮内膜症で出来るチョコレートのう胞は本当の腫瘍とは異なります。手術以外にホルモン治療が行われますので子宮内膜症の項をご覧ください。
当院では
長年手術に携わってきた経験から、経過をみても良いか手術をすべきかを判断し、患者さんの意向を尊重したうえで治療方針を決定します。手術が必要な方には、病院の指定がとくにない場合は虎の門病院を紹介して、私自身が赴いて病院の産婦人科チームと手術を行っています。
卵巣がん
症状
卵巣がんは「静かな腫瘍」と言われるように発生しても気づきません。自覚症状が出るのは、大きさが10㎝を超えて下腹部が張りっぽくなった時か、腹水が大量に溜まってお腹が膨らんだ時ですので、症状からの早期発見が困難ながんです。
早期発見のためには
経腟超音波検査を用いた小さな腫瘍の段階での発見が有用です。生理不順など他の症状で受診した際に偶然に発見された場合や、健康診断を受けて発見された方では治る率が高いので、このような機会を積極的に利用しましょう。CA125などの血液腫瘍マーカー検査でも早期に発見される場合がありますが、卵巣嚢腫などの良性腫瘍や腹膜などの炎症、単なる生理中でも高値を示し、また卵巣がんでも腫瘍マーカーが高くならないタイプもありますので、診断の信頼度が低い点に留意が必要です。
治療
主に手術と抗がん剤の組み合わせによる治療が行われます。最近では分子標的薬の使用も始まっています。
当院では
積極的に経腟超音波検査を行い、小さながんの時期からの発見に努めています。ご心配な方は診察の際にご相談ください。
妊娠の診断や妊婦健診を希望される方へ(自由診療)
妊娠の診断
通常は排卵から2週間たつと次の生理ですが、妊娠すると予定の生理日を過ぎてから数日して尿の妊娠検査薬で陽性の反応が出ます。超音波検査で妊娠と診断できるのは妊娠5週以降、すなわち予定の生理日から1週間を経てからですので、受診される時期の参考にしてください。
妊婦健康診査(妊婦健診)
妊娠初期の胎児の発育確認から分娩予定の病院・産院に移るまでの定期健診を行っています。妊娠中の下腹痛や出血などの不意の症状にも対応しています。
不妊症の検査や治療を希望される方へ(一部自由診療)
早めの行動を
晩婚化や少子化が社会全体の問題として提起されて久しくなりました。医療も体外受精に代表される高度生殖医療(ART)が普及して治療の結果お子さんを得られるご夫婦が多くなり、わが国では子どもの8人に1人が体外受精によって生まれている状況です。しかし医療が進んでも身体の仕組みそのものを変えることは難しく、年齢とともに治療の成功率が低下するのは避けられません。38歳を超えると成功率が急に下がりますので、35歳までに検査や治療を開始することをお勧めします。
当院では
不妊相談やホルモン検査、卵胞チェックなど、初期の不妊検査・治療を行います。人工授精や体外受精が必要な段階では、虎の門病院の不妊外来や不妊専門のクリニックにご紹介いたします。
他院で治療中の方の注射
他院で排卵誘発を行っている方に対して、誘発薬の注射を行うことができます。ご希望の方は必ず担当医の指示が記載された診療情報提供書をご用意下さい。また、指定の注射薬を準備できるか確認する必要がありますので、事前にお電話でご相談ください。
避妊や月経時期の移動を希望される方へ(自由診療)
避妊の相談
継続的な避妊法
経口避妊薬の服用か子宮内避妊具の使用をお勧めしています。子宮内避妊具はミレーナ(LNG-IUS)をご用意しております。
緊急避妊法
ノルレボをご用意しています。性交渉後の72時間以内に服用する必要がありますが、服薬までの時間が短いほど高い避妊効果が得られますのでお早めにご相談ください。
月経時期の移動
月経の時期を調節するには
女性ホルモンのエストロゲンと黄体ホルモンの両方が入っている薬を一定の期間飲むと、飲み終わってから数日後に生理が始まります。これを利用して生理を早めたり遅らせたりすることが出来るのです。ただしこのホルモン薬には吐き気やむくみ、眠気を起こす作用があるため、人によっては飲んでいる間の体調の変化を不快と感じてしまうでしょう。生理を遅らせる方法では旅行などの行事の間も薬を飲む必要があるため、時間的な余裕があるなら生理を早める方をお勧めします。
月経を早める方法
移動させたい生理の1回前の生理中に薬を飲み始め、約14日間飲んで止めると数日後に生理が始まります。生理が7日間から10日間早まるため予定の行事の前に終わらせることが出来ます。遅らせる方法と比べて確実性が高く、生理が不規則な方でも失敗しないのが特徴です。この方法では生理が始まって5日目までに薬を飲み始める必要がありますので、ご来院の時期が遅くならないように気をつけてください。
遅らせる方法
移動させたい生理の開始日を予測し、その7〜5日前から薬を飲み始めると、飲んでいる間は生理が始まらないように止めておくことが出来ます。移動させたい生理の直前に計画しても間に合うのが特徴ですが、行事が終わる日まで飲み続けるため、旅行など行事が長期間の場合は薬を飲む日数が長くなってしまいます。また遅らせたい生理の開始日の予測が外れると計画の前提が狂いますので、失敗のもとになります。普段の生理が規則的で遅らせたい生理の予測が正確にできる方や、ホルモン薬を飲んでも身体の変調を起こさなかった経験のある方に向いている方法です。
更年期や閉経後のからだの変調が気になる方へ
年齢とともに起こりやすくなる疾患
更年期の問題
更年期の機能性子宮出血、更年期障害、子宮体がんなどがあります。
閉経後の問題
萎縮性膣炎、骨盤臓器脱、骨粗鬆症などがあります。
自費価格一覧表
子宮頸がん(HPV)ワクチン
自費メニュー | 価格 | 備考 |
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ガーダシル注射 | 18,500円/回 | 別途診察料等がかかります |
アフターピル(緊急避妊薬)
自費メニュー | 価格 | 備考 |
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ノルレボ錠 | 18,000円/錠 | 診察料を含む |
妊娠診断
自費メニュー | 価格 | 備考 |
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妊娠診断料(診察料、検査料含む) | 10,000円 | 診察料、検査料を含む |
妊娠反応検査(尿) | 1,800円 | 別途診察料等がかかります |
避妊リング
自費メニュー | 価格 | 備考 |
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避妊リング挿入(ミレーナ) | 50,000円 | 診察料、処置料等を含む |
避妊リング除去 | 4,500円 | 診察料、処置料等を含む |
月経移動
自費メニュー | 価格 |
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月経移動診察料 | 5,000円 |